先日、在宅でのお看取りがありました。
80代の女性の患者様が、旦那様、息子さん、お姉さんに囲まれて、旅立たれました。その後、ベッド上で髪を洗い、乾かし、息子さんと一緒にいつも使っていたブラシで髪を整えました。ふんわりした髪型と、ドライヤーの温かさで、まだ生きていらっしゃるような気さえしました。
ご家族みなさんが、それぞれの思いで、いろいろな言葉がけをされていました。
私は「人は生きていたように死んでいく」と、誰かが言った言葉を思い出しました。この患者さんは愛されて大切にされて、これまでの人生を送られていたのだなと。
それと同時に、在宅医療の看取りの現場というのは、「人が死ぬという場面をしっかりと作る」ということ。つまりは周りの人が、(これから悔いなく)生きるための配慮を本当に細やかにしていることを目の当たりにしました。
患者さんの呼吸が止まった直後、連絡していた息子さんが到着され、15分後ぐらいに遠くに住んでいた
医師は「聞こえていますよ」「心臓はまだ動いています」
来てほしい人全員がそろった時点で、「確認をさせていただきます。(瞳孔反射などをみてからその場で時計を見て)●時●分、ご永眠です」と医師は言いました。
家族の気持ちとして「死に目に会えなかった」とか、「もう話せなかった」
残された人ができる限り満足(納得)
これも一つのMake a wishなのですね。
こちらのニュースに死に至るプロセスがわかりやすく紹介されています。ご参考になれば幸いです。
厚生労働省は、今年新たに、中小企業を対象に、介護と仕事の両立支援の施策を社内で実施すると、60万円の助成金がもらえる設定をしました。
具体的には、厚生労働省が指定する資料に基づき、以下の全ての取組を行っ た場合に支給します。
今月24日より少し要件が厳しくなりました(下記が新しいもの)
①従業員の仕事と介護の両立に関する実態把握(社内アンケート)をセミナー前に実施
②制度設計・見直しを実施
③介護に直面する前の従業員への支援(社内研修の実施、リーフレットの 配布)
④介護に直面した従業員への支援(相談窓口の設置及び周知)
詳しくは、厚生労働省のページを・・といいたいところなのですが、わかりにくかったのでまとめました。
・「介護支援取組助成金」制度概要 → 6/24以降の見直しの概要
・社内アンケート調査票
・社内研修資料
・介護リーフレット
アンケートもそのまま使うことができるものになっており、また
社内研修用の資料充実しており、介護と仕事を両立するためのポイントを5つにまとめています。
1.職場に介護を行っていることを伝え、仕事と介護の両立支援制度を利用する。
2.介護サービスを利用し、自分で「介護をしすぎない」。
3.地域包括支援センターやケアマネジャーなど専門家に何でも相談する。
4.日頃から「家族と良好な関係」を築く。
5.介護を深刻に捉えすぎずに、「自分のための時間を確保」する。
厚労省が助成をしている、ということは、中小企業において「介護と仕事の両立」を積極的に進めていきたい、そのためには現状把握と介護になる前の社員に情報提供をしておきたい、と考えていることがわかります。
介護について、少しでも聞いたことがある、知っている、どこに相談すればいいかわかる、という糸口を知っていることは非常に重要です。
日ごろ、企業でのセミナーでよくおつたえしていること。
それは、介護になったらきちんと周りに言いましょう。プライベートなことだからと言って、隠していて、損することはあれど、得することは何もありません。
介護という、個人的なことを会社に話したって・・と思われるかもしれませんが、発信することはあなた自身を助けることになります。
今回、ダイヤモンドオンラインというサイトに 「親の介護は、会社に隠せば隠すほど深刻になる」
というタイトルのコラムが掲載されていました。
よくあることを、丁寧にかつコンパクトにまとめてある記事だと感じました。
限界の限界にまできてから「・・介護大変なんで仕事やめます・・」ということにならないように、話せる雰囲気を、まずあなたがパイオニアになって作っていきましょう、と企業ではお話しします。
そうすると、「いやー、家も・・」とか「実は家内の両親が・・」という話も出やすくなり、込み入った介護保険の制度のことなども互いに理解しあえる仲間が見つかるかもしれません。
「お互いさま」
いつ自分が介護する立場、介護される立場になるか、残念ながら予想はできません。
何かあれば、フォローします。助けますという、この「お互いさま」という気持ちが、いざという時、相手を支え、自分が支えられるでしょう。
まずは状況を言い合える職場に、そして、お互いさまといえる風土づくりが、介護と仕事の両立の準備の第一歩だと思います。
認知症高齢者とのコミュニケーション手法として、バリデーションという手法が着目されています。徘徊や暴言、暴力などのBPSD(周辺症状)の予防や軽減につながるとも言われています。
認知症の方に尊厳と共感を持って関わることがバリデーションの基本。
症状が進行し、認知機能が低下しても、感情機能はかなり最後まで残るのだそうです。
否定したり、話をそらして誤魔化したりせずに、ご本人が直面している困難とその感情に共感し、尊重する姿勢を示しながら傾聴することで、良好なコミュニケーションがとれ、ご本人も介護者も楽になり、結果的に介護負担が減ると考えられています。
わたしはバリデーションを学んでから、介護現場で「家への帰り方がわからないの」と途方に暮れている認知症のご高齢者には、同じくらいの困った顔をして、「そうですか、帰り方がわからないのは心配ですね」と声をかけることにしています。
最初から、「大丈夫だから安心してくださいよ」と笑顔で言っても、それはご本人の不安な感情を無視することになってしまい、心底から安心されることはないからです。
さりげなく腕に触れながらゆっくりとお尋ねしていくと、いろいろなお話が出てきます。ひとつひとつ頷きながら聴くうちに、ご本人の口から「ああ、安心した」という言葉が出てきます。時間はかかりますが、結局はお互いに楽な方法だと実感しています。
仕事と介護の両立セミナーの受講者からも、親が認知症を発症したらと思うと心配、という声がよく聞かれます。
その大きな部分は、やはりコミュニケーションがとれなくなってしまうことへの不安ではないでしょうか。
わたしも、祖母の介護をして同じ部屋で寝ていた時に、一時的にせん妄状態になって意味のわからないことを言い始めた祖母を寝かせつけたあと、布団の中で震えが止まらなかったことをよく覚えています。
あの時の自分に介護の知識があって、認知症が進んでもコミュニケーションを取ることができる方法がある、と知っていれば、もっと気持ちが楽だっただろう、と思います。
わたしたちは仕事と介護の両立セミナーを通して、知ることで得られる力をお届けしたいと考えています。
公認日本バリデーション協会
http://www.clc-japan.com/validation/
愛知県が調査した「仕事と介護の両立支援等実態調査結果について」の結果が
昨日発表されました。
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/rodofukushi/sigotokaigosurvey280224.html
調査対象は愛知県内に本社がある企業3,507社です。
従業員の仕事と介護の両立に関して仕事と介護の両立を図る必要性について、約9割が共感しています。その一方で、従業員の介護の状況を把握できている企業は、約半数(47.6%)にとどまっていることがわかりました。
両立支援の課題としては
「今後、介護を行う従業員が増えることが懸念されること」が54.7%と最も多く、
次いで「人員配置や業務分担の方法が難しいこと」(43.8%)、
「代替要員を確保すること」が難しいこと」(41.8%)、
「従業員の間に どのようなニーズがあるのかわからないこと」(36.5%)、
「仕事と介護の両立で悩んでいる従業員がいてもその課題が顕在化してこないこと」(36.2%)
の順に多くなっています。
したがって、両立支援として重要なことは
「制度を利用しやすい職場づくりを行うこと」が50.3%と最も多く、
次いで「介護休業制度や介護休暇等に関する法定の制度を整えること」(37.8%)、
「従業員の仕事と介護の両立に関する実態把握やニーズ把握を行うこと」(36.4%)、
「介護に直面した従業員を対象に仕事と介護の両立に関する情報提供を行うこと」(30.8%)の順に多いようです。
まとめると、両立についてはほぼすべての人が賛成。やらなくてはならないこともわかっている。しかし人事としては、介護をしている社員の情報収集ができず、社員としては制度があっても使える雰囲気がないと、厳しいということだと思います。
おそらく、これは、愛知県に限らず、日本全国どこの企業でも抱えている問題ではないかと思われます。
そのためには、ありきたりではありますが、日常からプライベートなことを自分から話せる雰囲気作りをすることが重要・・と感じます。
とくに介護に直面することが多い年齢層は50代以上。となると、企業の管理職以上のことが多いかと思います。
管理職の方が、自ら進んで、部下をランチに誘い、こんなことがあってサーと語る、フェイスブックを活用して、家族の写真をアップしたり、日々のことを発信するといった小さなことから始めませんか?
多少煙たがられても、「忙しいからネット見ながら1人でデスクで食事」「いつものメンバーだけで食事」という状況から脱して、部下との日中の接点を増やす、貴重なランチをしっかり活かすのはいかがでしょう?
つまりは、組織のチームリーダーが、日頃からメンバーをよく見ることに尽きるかとおもいます。
そういえば、私が新入社員のころものすごく信頼を集めていたT部長は、いつも日中いろいろなフロアに出没し、ふらふらと(笑)居室を歩いて新人にも中堅にも声をかけながら歩いていたことを思い出します。
変化に気づき、ほめる。
変化に気づき、支える。
変化に気づき、寄り添う。
よいこともよくないことも、うれしいこともつらいこともいろいろ話せる職場が、結局は、いつの時代も、「いい組織」っていう事なのだろうと思います。
まずは、自分の発信から。相手に話させたいなら、自分がプライベートを話す・見せることがいい組織への近道ではないでしょうか?