認知症高齢者とのコミュニケーション手法として、バリデーションという手法が着目されています。徘徊や暴言、暴力などのBPSD(周辺症状)の予防や軽減につながるとも言われています。
認知症の方に尊厳と共感を持って関わることがバリデーションの基本。
症状が進行し、認知機能が低下しても、感情機能はかなり最後まで残るのだそうです。
否定したり、話をそらして誤魔化したりせずに、ご本人が直面している困難とその感情に共感し、尊重する姿勢を示しながら傾聴することで、良好なコミュニケーションがとれ、ご本人も介護者も楽になり、結果的に介護負担が減ると考えられています。
わたしはバリデーションを学んでから、介護現場で「家への帰り方がわからないの」と途方に暮れている認知症のご高齢者には、同じくらいの困った顔をして、「そうですか、帰り方がわからないのは心配ですね」と声をかけることにしています。
最初から、「大丈夫だから安心してくださいよ」と笑顔で言っても、それはご本人の不安な感情を無視することになってしまい、心底から安心されることはないからです。
さりげなく腕に触れながらゆっくりとお尋ねしていくと、いろいろなお話が出てきます。ひとつひとつ頷きながら聴くうちに、ご本人の口から「ああ、安心した」という言葉が出てきます。時間はかかりますが、結局はお互いに楽な方法だと実感しています。
仕事と介護の両立セミナーの受講者からも、親が認知症を発症したらと思うと心配、という声がよく聞かれます。
その大きな部分は、やはりコミュニケーションがとれなくなってしまうことへの不安ではないでしょうか。
わたしも、祖母の介護をして同じ部屋で寝ていた時に、一時的にせん妄状態になって意味のわからないことを言い始めた祖母を寝かせつけたあと、布団の中で震えが止まらなかったことをよく覚えています。
あの時の自分に介護の知識があって、認知症が進んでもコミュニケーションを取ることができる方法がある、と知っていれば、もっと気持ちが楽だっただろう、と思います。
わたしたちは仕事と介護の両立セミナーを通して、知ることで得られる力をお届けしたいと考えています。
公認日本バリデーション協会
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