奥田浩美著『ワクワクすることだけ、やればいい!』

ご縁があってお名前を知るに至った奥田浩美さんの著書。


「ITの力で人を幸せにすること」が夢と語る奥田さんが、自身の経験談を通して行動や考え方のヒントを綴っている。

 

奥田さんは数々のIT関連のビッグイベントを成功させ、「IT業界の女帝」と言われるほどにパワフルな働き方をし、
そして現在はITを通した地域創生、高齢者福祉と、課題をどんどん新しいビジネスにつなげている。
1ページごとに生き方のヒントがいくつもちりばめられている、宝石箱のような一冊。

 

「チャンスは/自分で見つけるのではなく/人からもらうものです」という帯の言葉に惹かれた。
人にチャンスをあげること。そうすれば人からチャンスをもらうことができる。
幸運の女神を探すのでなく、自分が誰かの幸運の女神になる生き方。

 

そして、「諦め・言い訳・後ろ向き・遠慮・思い込み」の、チャンスを逃す「あいうえお」に、大きくうなずいた。
だって能力がないから・・・でも時間がないし・・・どうせ望まれてないし・・・わたしなんか・・・に違いない。
そんな「あいうえお」が足かせになっていること、自分もあるな、と思って耳が痛かった。

 

しかし奥田さんの指摘は、単にそんな姿勢を糾弾するのが目的ではない。
チャンスをつかもうとする手をつい止めさせる、「だって、でも、どうせ」の負の感情の裏にこそ、
自分の本当にやりたいことが隠れているんですよ、と語る視点は、とても温かい。

 

リーダーシップのあり方、仲間と働く意味、変化を恐れないことの大切さ、どれも時代の変化をとらえた、説得力のある言葉ばかり。
そのくせ、りきみがなく、軽やかな語り口に、おおいに力づけられた。

 

そんな奥田さんも介護については「目を背けてきた問題」と率直に語る。
現在はお父様が要介護状態で、介護者であるお母様を離れて暮らすご家族が支えているとのこと。
もちろん、そこにもITが活かされ、LINEのスタンプを使ったコミュニケーションの可能性が示唆されている。

 

本書に「育児はみんなが繋がるチャンス」とあったが、介護もそうかもしれない。
介護をマイナスにばかりとらえず、お互いに協力し合って働くことで生まれるプラスのパワーを生み出すチャンスにできないか。
わたしたちは、そのことをもっと社会に伝えていくことができるのではないか。
そして、誰もがそれぞれのやり方で力を発揮しながら働くことのできる社会が実現したら素晴らしいな、と考えさせられた。

 

田中由紀子