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老い方上手  上野千鶴子・大熊由紀子・会田薫子・樋口恵子・井上治代 WAVE出版

 

このそうそうたる著者を見て頂きたい。非常に有能で高名でしっかり意見をまっすぐぶつけられる、世にもパワフルな女性人の集団である。その著者たちがお金、認知症、介護、終末期医療、在宅ひとり死、お葬式のやり方について、それぞれの得意分野で、現状を数字を交え、理知的に解説。私たちは日本という社会の中でBB(びんぼーばぁさん)に陥る可能性が高い。女性は男性よりも平均寿命も健康寿命も長い。それらの寿命が長い分だけ、育児に時間がかかった分だけ、男性より長く働いてちょうどいい、HB(働くばぁさん)になろう、と樋口氏。

 そして、死に方を考えそれを口にし、選択できる時代になったと上野氏。「金持ちより人持ち、自分より20歳下の友人を持て」と。また、死んだあと、妻に御礼にバラを贈る手配をしていた旦那様、孫に毎月1冊本を贈る手配を整えた女性。死んだ後もその関係を感じられるから、「死」が怖くないということを紹介してくれた井上氏。

大熊氏はユマニチュードを含めて認知症を分かりやすく、また、看取りと法律のぎりぎりの辺りを非常に明解に書いた会田氏。

老いるまで、老いて誰かの手助け、つまり介護が必要になったら、そして死んだら、そしてそのあとの死後の仕掛け、そこまで含めての「老い方上手」。1400円とは思えない充実ぶりの一冊、まさに「これからを自分で決めるための知恵の結晶」と言えるだろう。


(スタッフ・柏木 凛)


人は必ず老いる その時誰がケアするのか 本田徹 角川学芸出版

 

介護についての本、と思って手に取ったのだけれど、ちょっと違った。東京のドヤ街、山谷で取り組まれている先進的な地域ケア連携ネットワークについての本。

孤・貧・老・病の四重苦に苦しむ高齢者を地域の力でどうケアしていくか、そのいままさに進行中の取り組みが描かれている。


1978年アルマ・アタ宣言、と鍼灸学校で丸暗記したときには、ふーん、そんなものかな、としか思わなかったプライマリ・ヘルスケアの概念が、当時、いかに画期的なものであったか、ぼんやりとながら、理解できた。そして目下取り組むべき課題の解決の糸口であることを知った。


読んでいてとくにショッキングだったのは「ぐるぐる病院」のこと。認知症や慢性疾患で地域で生活できなくなった高齢者が、他県の療養病床や精神科病床をたらい回しになり、ついにはどこで亡くなったかもわからなくなってしまう。

目を背けてはならない現実だ。


ちょうど直前に、外山ひとみ『女子刑務所 知られざる世界』と『ニッポンの刑務所30』を読んだばかりだったので、ドヤ街に住む、またはホームレスになる人々の境遇に思いを致すことができた。


その中でも著者の視点は公平で温かく、支援者も居住者も魅力的に描かれているのが印象的だった。


(記・代表取締役社長 田中由紀子)


友達の数で寿命が決まる 石川善樹 マガジンハウス

 

友達の数で寿命はきまる~科学が証明する「つながり」の驚くべき健康力


人との「つながり」、いわゆるソーシャルキャピタルについて、分かりやすく、かつ、様々な論文や信用できる出典から書かれているとても有益な本でした。


孤独は、喫煙より体に悪い(ブリガム・ヤング大学 ホルトランスタッドのメタアナリシスの結果)

 

男子校の出身者は未婚率が高く、短命である(ハーバード大学医学部 ニコラス・クリスタキス教授)

 

お見舞いに来てくれる人の数で死亡率が変わる(アラメダ研究のバークマン教授)


喫煙の恐ろしさをアピールしている私としてはかなり衝撃的!!!

原著を読んでみたい、と思える内容ばかりで、かなり驚かされましたが、それだけでなく、使えるネタがいっぱい!


私は、学生時代に、東京ディズニーランドでのアルバイトを通じ、人が笑顔になれる場所を提供できるなんて、なんて幸せなんだろう、と思い、オリエンタルランドに就職しようと思っていました。

その後、就活を進めていくうえで、コミュニケーションが人を「幸せ」にできると考え、

「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」を打ち出していたNTTドコモ(当時はNTT移動通信網株式会社)に入社しました。


当時i-modeの開発を通じ、本当に新しいコミュニケーションの「文化」が生まれ、みるみるうちに電車の中にいる人の時間の過ごし方が変わっていきました。本や新聞、つり広告を眺めるだけだった車内の過ごし方が、いまや、7人掛けの椅子に座る9割の人が携帯をいじっている姿に。

今では当たり前すぎて、大学生ぐらいの方は、「なにいってるんだろう」と思われるかもしれませんね。でもそれがまさに「文化」なんだと思うのです。


そして、「幸せ」って結局何なんだろう・・という大きな問題にぶつかり、私自身の答えは「幸せ=健康」、そして、多くの人ができるだけ効率よく健康になるにはどうすべきなのかを知るために、公衆衛生学を学ぶため、大学院に入り直しました。


そんなこんなで、この本を読んで、私が考えてきた「幸せ」の紆余曲折(?)は、笑顔であり、コミュニケーション、つまり、つながりであり、そして健康である、ということが、それほどずれていなかったのだなと思えた本でした!!


さらに、こんなことも書いてありました。


身体の病気はこの4つの要素に左右されると言われています。

(カナダ ラロンド保健大臣、アメリカの健康政策「ヘルシーピープル」(1979年))

 ・医療制度 10%

 ・遺伝 20%

 ・環境 20%

 ・生活習慣 50%


そして精神の状態を左右しているのは

 ・状況

 ・認知と行動

 ・遺伝


なのだそうです。


ここからは私の考えですが、身体の病気を左右するもののうち、自分で変えることができるものは「生活習慣」だけ。

そして、精神の状態を左右するもののうち、自分で変えることができるものは「認知と行動」だけ。


おそらく、同じようなことを指している言葉のような気がします。


ニーバーの祈りではありませんが、変えられるものが分かるなら、より健康で、より笑顔で、よりつながりを持って生きるために今すべきことが何か、「明日から」ではなく「今日」からできることをとにかくやっていくべきなのだと改めて感じました。


おススメの本です。バイブルにしてもいいぐらいです。ぜひ。


(記・筑波大学 堤円香)

 


僕の死に方 エンディングダイアリー500日 金子哲雄 小学館

 

2012年10月、41歳の若さで肺カルチノイドで急逝された、流通ジャーナリスト金子哲雄さんが書かれた、本。

帯には「これは41歳で急逝した売れっ子流通ジャーナリストの見事な死の記録である」とありました。

 

 病気を宣告され、キューブラー・ロスの「死の受容」のプロセス(否認→怒り→取引→抑うつ→受容)を体現しているだけでなく、その受容をした後のアクションを刻銘に記録した内容でした。車内で読み進めたことを劇的に悔やんだのですが、時すでに遅し。泣きすぎて泣きすぎて(実はその1時間後、都内某所での介護セミナーの講演だったのですが)目が真っ赤に腫れ、急いでお店に飛び込みお水のグラスで冷やすことに。

 

 私は”日本人はお墓の準備はするけれど、その前の10年ぐらいの介護が必要な期間を空白にして、目を背けているなあ。それじゃダメなのに・・”と数年前デンマークやオランダに見学に行ったとき、切実に思いました。それが介護のセミナーをする原動力でもあります。

 

 しかし、金子哲雄さんは、違いました。死後残された奥様が一人になるには広すぎる家からの引越なども、ご自分でうごけるときに、と家探しをされました。また、治療と仕事を最後の最後まで両立しながら、戒名、葬儀の準備、仕出しの内容、会葬礼状など事細かに準備され、最期の幕引きまでご自分の手でなさいました。

 最期の最期まで、仕事をするために、意識を清明しておきたい、という願いから、在宅の医師・看護師の強力なサポートのもと、極力痛み止めのモルヒネを最小限にして、執筆したり電話インタビューに答えていたとのことでした。

 

 胸が詰まって、詰まって、こんなに若くして納得がいかないだろうに、死を受容しただけでなく、その先の「だから今どうする」というアクションを起こした、ものすごい方だったことを、改めて思い知らされます。

 もし自分が、、、と思うと同じようにできるか、自信がありません。でもその10分の一でも行動に移せたらと感じました。

 

(記・筑波大学 堤円香)